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初体験の話

初体験、この書き出しは、沢木耕太郎著の「ポーカー・フェース」。

この言葉を見たり、聞いたりすると、思わず生唾をゴクリと飲み込む。

 

「初体験、などと書くと妙な気配をかもしだしかねないので、単純に初めての経験といっておくことにするが、

だれにも、そしてなにごとにも、初めて経験するときというのがあるものだ。

しかし、だんだん年齢を重ねていくと、初めて経験することが少なくなってくる。

あれもこれもやったことがあるし、あそこにもここにも行ったことがある。

あれも食べたことはあるし、これも飲んだこともある、というようになってしまう。」

 

と、上記の文章が続き、変に期待していたものがいっぺんに消え去る。

沢木耕太郎と言えば「深夜特急」。その後も世界中を飛び回っている行動派作家。

多くの人と交流があり、滅法お酒に強く、バカラに夢中になる多才な人だ。

だからこんな思いが書けるのであろうが、動かないボクには初体験があまりに多い。

あれもやってないし、これもやってない。あそこにも行ってないし、ここにも行っていない。

あれも食べたことはないし、これも飲んだことはない。

数多くの初体験を残したまま、この世におさらばするであろう。